マイコプラズマ感染症
【どんな病気?】
肺炎マイコプラズマによる呼吸器感染症
【原因】
肺炎マイコプラズマ … “細胞壁”を有さない最小の細菌
【疫学】
3~7年程度の間隔で大流行を起こす。
1年を通してみられるが、秋~冬に増加する傾向がある。
幼児期~青年期の比較的若い年代に多い。
【感染経路】
飛沫感染、接触感染
【潜伏期(感染~発症までの時期)】
2~3週間
【症状】
発熱、けんたい感、頭痛で発症、3~5日遅れて咳が始まり徐々にひどくなる。
咳は、乾いた咳で始まり、後に痰がらみの湿った咳になることが多く、3~4週間続くことも多
い。
【診断】
検査結果によらず症状・経過から診断することも多い。
・迅速抗原検査キット…初期には感度が良くない。
(マイコプラズマ感染症では検出する“IgM抗体”が上昇するまでに日数がかかるため。)
・LAMP法…発症から比較的早い時期には1番迅速に診断できるが、
医療施設によって取り扱っていないこともある。
・最近では抗原を高感度で検出する機器も開発され、利用している医療施設もある。
・血液検査…正確には2~4週間隔で2回採血し(ペア血清という)、数値の上昇を確認するが、
症状が良くなった時に2回目の採血をしなければいけないので実際はあまり行われない。
・胸部レントゲン…聴診では異常が無くてもレントゲンで肺炎が認められることがある。
【経過】
ほとんどは自然に治癒し、適切な抗菌薬投与により3~5日で症状が軽快することも多い。
約10%で肺炎を発症。
稀に皮膚症状、神経系の病気(脳炎、髄膜炎、等)、心筋炎、関節炎などの合併症がある。
【治療】
自然に治ることも多いので、抗菌薬(抗生物質)は必須ではないが、
肺炎に対して、あるいは症状に応じてマイロライド系抗菌薬を使用。
その後2~3日経過しても症状が改善しない場合は耐性菌を疑い、
「テトラサイクリン系」「キノロン系」といった種類の抗菌薬を使用することもある。
(ただしテトラサイクリン系抗菌薬は、 副作用の面から8歳未満は原則使用しない。)
【予防】
手洗い・うがい・マスクなど一般的な予防が基本。
感染が疑われる場合はタオルの共用は避ける。